認知症予防を学ぼう!

認知症や認知症予防に関する知識は、難しいものばかりではありません。正しく理解し、自身の脳の状態を把握できれば、いざという時にも落ち着いて備えることができます。


*引用「認知症 オレンジブック」より

*企画制作:一般社団法人 日本認知症予防協会 /田中ビジネスサポート株式会社


●認知症とは?

認知症とは、脳細胞の一部が壊れることによっておこる「後天的な脳の病気」です。

かつては「痴呆症(ちほうしょう)」と呼ばれていましたが、2004年、厚生労働省により「認知症」に改められました。

2012年時点での認知症患者数は約462万人、予備軍とされる軽度認知障害者数約400万人とも言われ、その後も確実に認知症人口は増えています。高齢化が進む現代において誰もが関わる問題と言えるでしょう。

 

 

不安に思うのは皆同じです。いたずらに怖がる必要はありません。

軽度の認知機能の低下がみられても、認知症を発症せずに生涯を過ごされる方もいらっしゃいます。

 

「認知症とは何なのか?」

「どうしてそんな症状が起こるのか?」

「予防の意味とは?」

 

事前に正しい知識をもって備えていれば、いざという時にも慌てずに対応できるかもしれません。

「まだ大丈夫」と思える頃からの充分な備えが大切なのです。

 

 


●認知症はなぜ「怖い」?

「自分が認識している世界が、他人とは異なって見えるようになる」

「知らないうちに自分が何かをしてしまったのではないかと不安になる」

 

認知症の症状について怖さを感じる人は多いでしょう。

誰しも自分のことが自分でよく分らなくなる感覚には戸惑ってしまうものです。

周りに迷惑をかけまいと、これまで普通にできていた生活を自分から制限してしまう場合もあります。

 

さらに認知症は、現代医療においても「怖い」とされる理由があります。

それは、確実な治療方法が未だ見付かっておらず、一度かかると完治が難しいという点です。 

 

現在「認知症の薬」として知られているものであっても「症状を緩和させること」を目的として使われるもので、認知症を根本から改善できるものではありません。多くの研究者が知恵を絞り、何年もかけて薬の開発に取り組んでいますが完成には至っていないというのが現状です。

複雑な脳の構造、そして認知症のメカニズムには解明できていない部分がまだまだ多いのです。



●MCIとは

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairmentの略で、健常と認知症の間の状態を指します。

物忘れは目立つものの日常生活には支障がない程度であり、認知症とは認められません。

しかしMCIの状態をそのまま放置した場合、そのうちの10~15%が1年以内に認知症に進行すると言われています。

 

近年では、このMCIの段階から適切な予防に努めることで、認知機能低下の緩和・改善の可能性が高いということも分かってきています。将来、認知症を発症するかどうかを左右する重要な期間と言えるでしょう。 


 

認知症を発症した方の中には、認知機能の低下を疑いつつも「まさかそんな筈はないだろう」と診断を先送りにし、症状がひどくなってから病院に駆け込むというケースも少なくありません。

 

「おかしいな」と思った時がMCIの状態である可能性は非常に高く、認知症を発症させないようにするための貴重なタイミングだということを、ご本人、ご家族ともに認識する必要があります。

 

 


●リコード法

「認知機能の低下(COgnitive DEcline)の回復(Reversal)」の頭文字をとったReCODE(リコード)法は、2014年 カリフォルニア大学(UCLA)デール・ブレデセン博士らの研究によって考案された認知機能の治療プログラムです。認知症で最も割合の高いアルツハイマー型認知症患者の9割に効果が認められたとして、一躍 世界から注目されました。  

 

リコード法の考え方として特徴的なのは、「認知症の発症原因は1つではない」という点でしょう。

これまでアルツハイマー型認知症の主な発症原因は、「アミロイドβ(異常タンパク質の一種)が脳内に蓄積するため」だと考えられてきたのですが、リコード法では発症原因として、アミロイドβ蓄積を含む 36もの要因があると説明しています。

 

過去の研究で認知症の進行を防げなかった理由は、アミロイドβの除去にだけ注目し、その他多くある要因に目を向けていなかったためだと考えたのです。

 

 


「アルツハイマー病 真実と終焉 ”認知症1150万人” 時代の革命的治療プログラム」

デール・プレデセン著/ 白沢卓二 監修/ 山口茜 訳 

 


36個の穴の開いた屋根

認知症発症の原因となる36の要素を屋根の穴に見立てています。これまではこのうちの1つの穴(アミロイドβの蓄積)だけを塞ごうとしていたため、残りの穴からの雨漏りが止まらず、認知症が進行してしまっていたと説いています。

 


 

 

では、認知症発症につながる「アミロイドβの蓄積」とはどのような経緯で起こるのでしょうか?

リコード法において考えられる原因には、大きく分けて次の3つがあります。

 

 1. 炎  症

異物の侵入に対する免役システム。

異物*の量が多いと過剰反応になり、脳を傷つけてしまう。

※食事の際に取り込まれる毒素(水銀、添加物など)や、血液に残留した歯周病菌の毒素など 

 


 2. 栄養不足

栄養が不十分だと脳を維持できなくなり、神経細胞の一部を縮小させる。

その結果、脳が萎縮する。 

 

 


 3. 毒  素

アミロイドβが体内の毒素と結合し、排除する。毒素の量が多く、生成される結合物が多くなると充分に排除されず*蓄積してしまう。

※結合物の除去は主に睡眠時に行われます。毎日の睡眠が不十分だと正常に排除が行われません

 


 

 それぞれ結果として脳機能を低下させる作用なのですが、原因となっているのは「毒素や異物の過剰摂取」や「栄養不足」など、日頃の私たちの生活がもたらす影響によるものだということが分かります。

食生活の偏り、不足、食べ過ぎ、質の良い睡眠がとれていない、などの悪い生活習慣が認知機能の低下を促進させる要因になっているのです。

アミロイドβの蓄積は、正常な処理範囲を超えた環境下で、なんとか脳を維持するために身体がとった必要な行動の結果 起こるものだと考えられます。アミロイドβはただの悪者ではなかったのです。

 

 


●認知症と生活習慣病

リコード法によるアミロイドβの蓄積原因からも推測されるように、日頃の生活習慣と認知症とは深い関係性があるということが分かってきました。

実際に、生活習慣病(糖尿病、高脂血症、がん、脳卒中など生活習慣の乱れによって起こる疾患の総称)が原因となって起こる脳血管性認知症は認知症全体の約20%を占めています。

認知症は現代における「脳の生活習慣病」とも言えるでしょう。発症の原因は加齢だけではないのです。

 

「一度かかると健常に戻るのは難しい」とされる認知症だからこそ、「発症する前」からの予防対策、生活習慣の改善が今、重要視されています。



●認知症を予防しよう① ~食事編~

 

身体を作る大切な要素である「食事」。

健康な身体を維持することは、健康な脳を維持することにもつながります。

老化(身体の酸化)を防ぐポリフェノールの摂取、脳のはたらきを助ける成分が豊富な青魚、充分な水分など、質の良い食材を、毎日バランス良く摂ることを心がけましょう。



●認知症を予防しよう② 頭のトレーニング編~

 

脳を若々しく保つコツは「楽しく、頭を使う習慣をつけること」。難しい問題に頭を悩ませるのではなく、楽しんで考える工程が脳に良い刺激を与えます。 

身体を使わずにいると筋力や体力が落ちてしまうのと同様に、頭も使い続けることで機能を維持することができます。趣味のように楽しく行えるトレーニング習慣をつけましょう。



●認知症を予防しよう③ 運動習慣編~

 

認知症は身体を巡る血液の異常によっても引き起こされます。

「頭の生活習慣病」と言えるほど、さまざまな生活習慣病と密接に関係している認知症。予防するには、まず生活習慣病にかからない生活を送ることが第一です。

短時間だけ、1日だけの激しい運動を行うのではなく、少しずつの軽い運動であっても長時間・継続的に習慣づけられるものを選ぶと良いでしょう。

他者と一緒に行うことで「楽しさ」を感じる運動になれば、さらに効果UPが期待できます。

 



●認知症を予防しよう④ 睡眠編~

 

脳を活発に動かしたあとは、しっかりと休ませることも大切です。

睡眠は脳内の不要なものを取り除き、起きている間常に働き続けた脳が休むための唯一の時間。毎日の充分な睡眠が、認知症予防につながるのです。

朝きちんと起きて、夜きちんと眠る。

この当たりまえの日課が、身体だけでなく脳にも良い効果を与えます。

 



●認知症の方への対応

 

もし身近な人が認知症になってしまったら…。どんなことに気を付ければ良いのでしょうか?

認知症でよくみられる症状についての基本的な対応法を覚えておきましょう。

 

また、認知症かも…と思った時は、なるべく早い受診をおすすめします。

本人がなかなか認めたがらない、病院に行くことを拒むといった場合は、配偶者の方や身近な方が「自分の認知症が心配だから病院についてきてほしい」などの理由で動向を促す方法も有効です。

 



*引用「認知症 オレンジブック」より

企画制作:一般社団法人 日本認知症予防協会 / 田中ビジネスサポート株式会社

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「認知症オレンジブック」(B5/P24)